妄想ラブレター
西日が差し込む廊下。眩しくて目を細める。
廊下に人気はない。居残りなんてものがない生徒はとっくに帰った時間の上、ここは移動教室に使われる校舎だ。他に誰もいるわけない。
そう思ってた時、何気なく窓から見える裏庭を覗く。
なんで覗いたのかもわからないほど、何気ない行動だった。
廊下に人がいないように、裏庭にも人がいるわけない……はずだった。
思わず足が止まり、心臓が締め付けられたような痛みが走る。
「……アキ」
裏庭にひっそりといたのは、アキと、雪村先輩。
なんで……? なんで2人で……。
そう思ったところで、嫌な考えが頭を過る。
2人はもう、付き合ってるんじゃ……。
先輩はアキが好きだって言ってた。それも冬休み中の話だし、あれからお互いの気持ちを知って付き合ってたっておかしくない。
アキはまた、身長伸びたみたいだし。きっとモテるんだろうな。あたしの知らないところでもまた、告白されたりしてるのかな。
……あ、やばい、泣きそう。
でも涙は出ない。
苦しいのに、涙はどうしてか出てくれない。
泣いてしまえば少しは楽になれるかもしれないのに。