妄想ラブレター



「どう思ってんのか知らないけど、喜んでた訳じゃないから。確かに先輩は楽しい人だし普通に話すけど……好きな訳じゃない」



真っすぐ見つめてくれる瞳を、あたしは見つめ返す事が出来なかった。


どうしてもどこかで疑っている自分がいる。


本当にあたしの事を好きなのだろうか、って。


なんで素直に受け入れられないんだろって思うけど、それは多分あたしが恋愛初心者だからだと思う。


ここでもあたしの怠けた恋愛経験がアダになってるんだと思う。


だって、まだ瞼の裏にはアキと先輩が並んで座ってた姿が焼き付いてる。


楽しそうに肩を揺らして笑い合ってた様子が離れない。


あたしって、こんなに面倒なやつだったんだ……。



「……てか、おれなんかの話よりツヤコの話を聞きたいんだけど」



どきり。


ポリポリと頭を掻き、アキは再び向き直ってあたしを見つめてる。


今まで見たアキの表情の中で一番、男の子だなって思えるような、あたしの心臓を鷲掴みにしちゃうような顔して。


顔が近い。


改めて思うけど、近いよね。


けどお互い前みたいに避けたりしない。


ドキドキするし緊張するけど、嫌じゃない。



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