妄想ラブレター
「おれはずっとツヤコが好きだった」
「嘘ばっか」
「嘘じゃないし。じゃなきゃラブレターなんて交換しようとか言うわけないだろ」
え、そうなの?
そう思った言葉は思ったと同時に口に出てたみたい。
アキが信じらんねーって顔で驚いてる。
いやいや、こっちだって信じらんねーって感じなんだけど。
「あんなハズい事、好きな子以外とするわけないだろ」
「いやいや、好きな人とでもハズいでしょ」
その上すっごいめんどくさかったし。
「そう言うけどな、おれなんて勇気出して書いた最初の手紙を破かれてるんだぞ。あの時はさすがに心折れかけた」
「だっ、だって、あんな一言を誰が本気だと思っ……」
言いかけた口は、ゆっくり閉じてゆく。
だって……アキの気持ちが、少し分かった気がしたから。