妄想ラブレター



どんどん顔が熱を帯びてゆくのがわかる。


きっと今のあたし、アキ以上に顔赤いかも。



「……」



そんな事聞かないでよ。



「……だめ?」



胸の奥がムズムズする。


背筋ももぞもぞしてきた。


どどどどどーしたらいいの?


パニック。


頭の中がショートした。


そしたら口を突いて出た言葉は……。



「……ちっ」



安定の舌打ちだった。



「なんで舌打ちするんだよ」

「しっ知らない、してない」

「嘘つけ」

「じゃあこれは、鼻歌だ。気分がいいって証拠だ!」

「ああそうかよ!」




自分でも無茶苦茶言ってるって分かってる。

分かってるけど、何か言わないと恥ずかしくて死んでしまいそうだった。


なのに。





突然ーーアキの匂い、があたしを包み込んだ。





ーーえ。


驚きと、硬直。



気づけばあたしは、アキの胸の中に顔を埋めてた。



「あ、あれぇ?」



なんで?


なんでこうなったの?


あの一連の流れで、どうしたらこうなったのだろう。



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