妄想ラブレター
「最近のアキってば、お父さんみたいだよね」
「なんでだよ」
「だって口うるさいじゃん」
呆れたって顔して、再び丸めたノートで頭を叩かれそうになったーーけど。
「ほっ! 真剣白刃取り」
そうやすやすと何度も叩かせるものか。
ノートを剣に見立てて、両手で挟んだ。
すると。
「甘い!」
空いてる方の手で繰り出されたのは、チョップ。
「あたっ!」
いや、これも大して痛くないけど。
「とりあえずノートはちゃんと取るように」
そう言いつつ、丸めたノートをあたしの机に置いた。
なんだかんだ言いつつ、最初から貸してくれるつもりでいたんだと思う。
そんな優しさに、胸の奥で新雪を踏んだ時のような小気味好い音が聞こえた。