妄想ラブレター
「勘太郎、お前……ツヤコの事好きだったんじゃないか?」
はっ……?
「なっ! んなわけ、ある、かーい!」
「なんだよそのノリ。キモいからやめとけ」
言いながらおれとの距離開けんなよ。
むしろアキの方から寄って来たくせに。
「おれはずっとツヤコとカンが付き合ってると思ってたけどな」
「ないない! ツヤコも否定してたろ」
中学の頃からよく言われてたセリフ。
おれもツヤコもずっと否定してた。
「ああ、ツヤコは否定してた。けど、勘太郎は好きだったんじゃないのかよ」
「なんだそりゃ。んなわけあるかよ」
「ならいいけど……」
なんてな。
本当はずっと否定しながら、意識してた。
おれは本当に、そうなってもいいなって思ってた。