妄想ラブレター
太陽の光は瀬戸くんの茶色い髪をより一層明るく輝かせる。
そんな姿をぼーっと見つめる。
こんなに近くで、こんなに長く瀬戸くんを見つめるのは初めてだから、なんか貴重だった。
「おっ、ツヤコ。なんだよ一番後ろの席とかいーなぁ」
そう言って近づいてきたのは中学からの男友達、草野 勘太郎(クサノカンタロウ)。
「ふっふっふ。日頃のおこないってやつでしょー。そういうカンはどこよ?」
「おれ? おれは…………教卓の真ん前」
「ぷぷーっ! よかったねぇー、昼寝するにはもってこいじゃん」
そう言いながらウインクつき、親指立ててペロリと舌を出してみた。
「てめ、このっ、バカにしてるだろ!」
「当たり前ダロ」
「しばくっ!」
カンの腕があたしの首に巻き付いて、そのまま一気に締め上げる。
ギブギブギブ!
声には出せないからカンの腕を思いっきり叩く。
どうだ参ったか、なんて声が聞こえたかと思ったら、あたしの首を絞めていた腕はゆっくりと解かれた。