妄想ラブレター
「あっ……」
人が心を込めて書いた手紙をコイツは……!
「もーやっぱやめやめ。それ返しっ……」
ぐしゃぐしゃになった可哀想な手紙。
それを掴もうと手を伸ばしたけれど、手紙はひらりとあたしの手を抜け、かわされた。
「ごめん」
あまりにもあっさり謝るから。一瞬言葉の意味がわからなくてポカンとしてたら、瀬戸は視線を逸らしながらもう一度「ごめん」って、そう言った。
急に真面目な顔をして言うから、なんで謝られてるのかわからなくなったじゃん。
「……いっ、いや。こっちこそ、勝手に入れてごめん……」
なんで、あたしも謝るかな。
なんかよくわかんないけど、謝らないといけない気がして……。
だってなんか本当に悪いって顔してたから。
「おれ、こんなに早く来ると思ってなかったから、さ……なんかすげー」
なんだそれ。
なにがすげーのかもわからんし。