妄想ラブレター



けどそう言って無邪気に笑う瀬戸を見て、なんか違和感を覚えた。

この違和感の正体はなんなのかよく分からないけど、決して悪いものでもない気がする。


かといって良いものかといわれると…………どーだろう?


言葉を返す代わりに無言で椅子に座り直し、そのまま机に伏せる。


机の木の匂い。真新しさの感じない匂いが、妙に落ち着く。



男子ってほんと無邪気だな。


封を切られる音がして、カサカサと手紙を読む音がする。


その光景が今目の前で繰り広げられてると思うと、顔があげれない。


だってハズい。これは思っていた以上にハズい。


曲がりなりにもあれは、あたしのラブレターだ。


あたしが綴った正真正銘のラブレター。


そこに書かれた言葉は妄想かもしれない。偽りかもしれない。


けれど、間違いなくあたしが瀬戸に送った恋文だ。


お遊びだとはいえ、意外と照れるじゃないか……。



ーーでも。



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