妄想ラブレター



うっすら片目を開けて、髪の隙間から覗き込む。

あたしの手紙を読む瀬戸は、どんな顔してるのか気になって。


あたしですらちょっとドキドキしたんだから、瀬戸だって同じようにドキドキしてもらわないとなんかシャクだし。


あーんな一言に負けるのもくやしいし。

ってか一言に負けるわけないし。

こっちはちゃんと考えたわけだし。

むしろときめけ。


そう思って前の席をチラ見したら、瀬戸はあたしに背を向けてた。


……ちっ。


思わず心の中で舌打ちしてしまった。



「秋月」



背を向けたまま、言葉だけが飛んできた。



「んー?」



おっ、感想?



「……今、舌打ちしたろ?」

「えっ? あれ?」



しまった。心の中でこぼしたつもりが、どうやら吐き出していたようだ。



「それ、やめた方がいいと思うぞ」

「うるさいなぁ。それよりどうよ?」



ドキドキドキドキ。


おっ?


これって貰った時もドキドキしたけど、読まれる時でもドキドキするんだ。


お遊びなのになかなか心臓に悪いなぁ。



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