妄想ラブレター
瀬戸がまっすぐあたしを見つめる。
朝の光が瀬戸のほんのり茶色い瞳をキラキラと輝かせる。
澄んだガラス玉のような瞳にあたしを映して、捕まえる。
君はメデューサか何かなんだろうか。
体は化石したように動かない。
なぜかわからないけど、あたしは動けず、瀬戸を見つめ返してる。
「悪かったな。おれの暇つぶしに付き合わせて」
そう言って瀬戸は、前を向き直した。
彼の瞳から解放されたあたしは、やっと体に自由が戻る。
はっとして、かざしたままだった紙袋を揺らし、口を開く。
「……ちょ、瀬戸! お菓子……」
「いい、やるよ。元々そのつもりで買ってたもんだしな」
なんだよそれ。じゃあ最初っから素直にくれればよかったじゃん。
「で、でも、これ受け取ったからってもう続きはやらないよ」
「いいよ。無理に付き合わせて悪かったな」
カサリ。
紙袋は音を立てて机の上に降りる。