妄想ラブレター



「……んー」



脳裏に浮かぶのは、瀬戸の後ろ姿だけ。


すごく近いはずなのに、どこか距離を感じるような背中だった。


見えない壁でもあるような。それは席替え前と同じ距離で、どこかあたしを寂しくさせる。



「……はぁ、しょうがないなぁ」



溜め息を吐き出して、ぐいっと体を起こす。


しょうがないから、書いてあげよう。


このマカロンの美味しさに免じて。


正直めっちゃ面倒くさいけど。


再びマカロンは形を変え、あたしの口は忙しなく咀嚼する。


さて、書くとしてもどんな手紙を送ろうか。


テーマは決まってる。ラブレターっていうのは決まり事。その中でどんな手紙を送ろうか。


うーん、うーん。


悩みながら最後の一口を口の中に放り込む。


……ん? そうだ!


脳裏に一筋の光が射し、赴くままに机へ向かい引き出しに閉まっていた便せんを取り出した。



片手にスマホを握り締めながら……。



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