妄想ラブレター
「瀬戸」
瀬戸はちらりとあたしを見て、「おはよ」ってそう言った。
いや、それはさっき言ったし。
「ねぇ、あたしの下足箱に」
「あっ、勘太郎。お前昨日のあれなんだよ!」
笑顔でそう言いながら、登校してきたカンに向かってく。
あたしの話を聞こうともしないで。
……また、避けられた?
まぁ、いいや。
そう思って席に着いた。
登校途中で買ってきてたパックのミルクティにストロー差して、くわえる。
片手でパックを持ち、あいたもう片方の手で鞄に閉まった手紙を取り出し、周りに見えないよう机の引き出しに忍ばせた。
表には秋月艶子様、裏には瀬戸文章。そう書かれた真っ白な手紙。
やっぱりこれって、ラブレターだよね。
でもなんで? やめたんじゃなかったっけ? っていうかやめるって言ったのあたしだし、それを受け入れたのは瀬戸なのに。
意味が分からん。
こそこそと机の中で封を開け、手紙を取り出す。中身も同じ白い便船。四つ折りにされた手紙をゆっくりと開いてみると、角張った瀬戸の字がぎっしり書かれている。
ふーん、今回は一言じゃないみたいだね。
ええっと、なになに……。