妄想ラブレター
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秋月艶子様
初めまして。
僕は瀬戸文章といいます。
きっと名前を聞いてもピンとこないかもしれないですね。
それだけ僕と秋月さんとの距離は遠いのかもしれません。
いいや、僕と秋月さんとの距離はとても遠いと思います。
手を伸ばせば触れる事が出来る距離にいるはずなのに、僕には声すらかける事ができない。
まるで僕たちの間には国境でもあるように、別の世界が広がっているように感じるのです。
けれどその距離が遠ければ遠いほど、僕の想いは増すばかり。
名前の通り、艶のある声。
ほんのり茶色の髪。
いつも眠そうにしている、色っぽさすら感じる横顔。
男女問わず友達が多く、多くの友人と楽しそうに会話している笑顔。
その全てが僕を虜にしています。
僕は秋月さんの周りにいる友人達が羨ましい。
僕にもその笑顔を向けて欲しい。
艶やかな声で、名前を呼んで欲しい。
……そう想う気持ちをどうすれば抑える事が出来るのでしょう。
少しでもあなたのそばに近づきたくて、国境なんて取っ払ってしまいたくて、僕は手紙を書きました。
どうか、僕の想いがあなたのところにも届く事を祈ってーー。
瀬戸文章
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