妄想ラブレター
教室に着くと、瀬戸は足を組んで窓の外を覗いてる。
そんな彼の後頭部を見下ろして、頭部に渦巻くものが無性に気になった。
何でかわかんないけど気になって、欲望のままに押してやった。
「……っ!?」
想像していた通り、びっくりした顔で振り返って後頭部を抑えるけど、その時にはもうあたしは素知らぬ顔で席に着く。
「おはよ。なに? どうかしたの?」
「下痢になったら秋月のせいだ」
恨めしそうにあたしを睨む。
透き通った瞳は淀み無く、あたしを一直線に睨み続ける。
「あたしの前の席の人はなんて朝から下品なことを言うのかしらね」
「秋月のせいだ」
あたしのノリを無視して、同じ事を繰り返し言う。
そんなに怒ったの? 普段から下痢気味だからとか?
「言ってる意味がわかりません」
「…………」
この一ヶ月で知った事。
瀬戸は怒ると……しつこい。
今も恨めしそうな顔であたしを見てる。
いつもは壁に背中を預けて顔だけこっち向けてるのに、今は体ごとこっち向いてじっと見てる。