妄想ラブレター
「花が散るのを眺めて終わってしまうべきなのに、梅の花はよけいなことにいつまでも袖に移り香となって残っていることよ……か」
古今和歌集、素性法師の歌。
ーーいつかは散るものだと思って、達観している方がいいのに。困ったことに匂いが袖に留まってる。
なんだか、とても切ない歌。
ラブレターって、告白だよね? まだ結果はわからないはずなのに、もうフラれるの前提で書いてるのってどうなの?
なんていうか瀬戸の手紙ってどっか線が細いというか、自信なさげというか……。
まぁ、それも“設定”なのかもしれないけど。
あたしも瀬戸に恋する女子って設定だし。設定は色んなバリエーションがあった方が面白いに決まってる。
そう思ってあたしはベッドから跳ね起き、机に向かった。