7年先も、キミを想って。
*学園祭*
*東城日和*
「先輩遅いッス!」
音楽室のドアを開けて真っ先に耳に届いたのは、後輩の水澤汐里(ミズサワシオリ)だった。
このバンドの人達はリーダーが楽器出来る人を集めて出来たグループだ。
私は香穂以外全員知らなくて、最初は不安だったけど、皆優しくて楽しい人達ばかりだったからすごく話しやすい。
「ごめんね、汐里ちゃん。和人と話し込んじゃって」
「えっ!?今日藤崎先輩とお昼一緒だったんッスか!?
」
汐里ちゃんが顔を近づけて言ってきた。どうやら和人といるのが羨ましいらしい。
「こら水澤、東城が困ってるだろ。」
だってぇ〜と言いながら、リーダーの園裕太(ソノユウタ)先輩が、汐里ちゃんを私からズルズルと引きずり下ろした。
「リーダー遅くなってすいません。……?少し少なくないですか?」
と私がメンバーを数えながら言った。6人のはずが、まだ4人しかいない。
「東城、リーダーはやめてくれ、何か恥ずいわ。だから園先輩とかで呼んでくれ。
……後は星夜(セイヤ)と輝(コウ)だな。星夜は多分、屋上だろ。輝は知らん」
「わかりました、園先輩。あっ、私星夜先輩呼んできますね。」
「おう、悪いな」
小野(オノ)先輩起きてると良いんだけど……最近肌寒いのによく屋上行けるよ
などと考えながら扉の前で止まり、冷たい鉄の扉のドアノブに手を掛け、ギギギギと言う音が鳴り、扉が開いた。
扉から少し離れたところに小野先輩が寝転がっていて、ドアの鈍い音が聞こえたのか、眠そうな顔で私の方を見た。