**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜



私をこんなにも好きでいてくれる人

きっと他にいない



「さっきね、しぃがいたの!でね、なんか好きな人できたみたいで!大人っぽくてちょーっと覗いたら綺麗な大人っぽい人でね…」


「…で?」


「私、最初からしぃの彼女なんかじゃなかった…、1人で自惚れてバカみたい」



私はコートのポケットに右手を入れて

きゅっとあるものを掴んだ

それがチャリっと音をたてると


「それ何?」


風斗が気づいた


「あ…プラネタリウムの日にしぃにプレゼントしようと思って買ってたんだけど…渡せなかったや」



あの日

しぃを待ち続けたあの日

こっそり買ってたんだ

土星がモチーフになってるネックレス

しぃが私に

金星のネックレスを買ってくれたように。


でも結局渡せなかった

あの日しぃは来なかったし

しぃとばったりあった時のために、

仲直りできた時のために持ち歩いてたんだけど

もうこれも、いらないね


「ごめん、風斗…これ、捨てといてくれる?」



私はそれを風斗差し出した


「私、たぶんずっと捨てられずに持ってそうだから…ほら!そこら辺の川に投げ捨てといて」


苦しい、苦しいよ



「ん、分かった」



でも少しほっとした

これで私は一歩進めるのかも知れない

しぃとの恋は淡い思い出にしよう

楽しいことばっかりじゃなかったけど

沢山悩んだこともあったけど

でもそれ以上に、しぃは私に

たくさんの"楽しい"や"恋"をくれたから

もう私はきっと、未練はないよ______


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