**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜


お化け屋敷は廃校をテーマに作られてて

スタートは靴箱から始まった

ルート的には階段を探して屋上まで行って

そこからまた下って出口を探してゴールらしい


お化けが出てきそうな場所なんて

大体は想像つくのに

今日は奴がいつも以上にうるさいから

落ち着けるものも落ち着けない


「あー!!出るって!!」

「風斗うっさい!」


いつもはあんなたくましいのに

今はなんで私が風斗の手を引いてるんだろう

でも私が無理やり入れたんだし

手離すのは可哀想すぎるかな?

それにビビってる風斗もちょっと可愛かったり

したりしなかったり…



そして無事に出口にたどり着いて

暗闇から抜け出すと真っ先に

風斗の青ざめた顔が目に入った


「ぶっ…!はははっ」


これを見て笑いをこらえてるなんて無茶だ

本物のお化けでも見たかのように真っ青


「ばか!笑うな!」

「だって、く…っ!あははっ」


堪えようとしてもやっぱり無理

私が手繋いで風斗を引っ張ってるところを

想像しただけで笑いがとまんなくなる

笑い泣きしちゃうくらいに


「あーもう!ほら!あいつらんとこ行くぞ!」

「はいはい!」


笑いはおさまらないまま

結局風斗も笑い出しちゃって

二人とも笑いが止まらないまま

待ち合わせの場所へ向かった


桜ちゃん達はどんなデートをしたんだろう

きっと私たちとはまるで真逆で

恋人らしい幸せなデートだったんだろうな

でも、私は楽しかった

これでもかってくらいに笑って

そうやってただ笑うことが何より幸せだったよ

大きなことは望まなくていいから

ただ目の前にある小さな幸せが

私にとっての大きな幸せだった




< 183 / 251 >

この作品をシェア

pagetop