**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜
もう少しで顔を隠しそうな太陽を背に
大きな観覧車は小さな箱をぶら下げて
幸せそうなカップルや家族を
高く高く空へと運ぶ
それに私たちも乗ろうとしていた
先に乗り込んだ桜ちゃん達は
朝の雰囲気とは少し違って
幸せオーラが倍増してて距離が近く、
近くなってる気がした
私達はどうだろう?
「街が小さく見えるね」
どんどん高くなっていく観覧車に揺られて
小さくなってく街を眺める
普段は大きく見えるビルも
ジェットコースターも小さく、
おもちゃみたいに見えてくる
空から見る景色はどうなんだろう
きっとこれよりも全てが小さく見えて、
でもすべてのものが見えるんだろうな
人が生まれる瞬間も
恋人が結ばれる瞬間も
家族が楽しそうにはしゃぐ姿も
そして、人が死ぬ瞬間でさえも______
「俺のこと好き?」
「え?」
「俺のこと、好きになってくれた?」
私の視界に映るのは
小さなビルでもジェットコースターでもなくて
ただ小さくなる街を見つめる風斗だけ
風斗の寂しそうな顔が窓ガラスに反射して
はっきりとその表情が見えてしまう
そして私は
その曇った風斗に笑いかけた
「好きだよ」