**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜
その日の放課後
私はある場所に連れて行かれた
「ねえどこ行くの?」
「ずっと黙ってろって言われたけどそろそろ限界だから」
「は?さっきから何言ってんの…」
無理やり手を引かれてしばらく歩いた
歩いて行くにつれて
段々嫌な予感がして足が重くなったけど
風斗が歩くのをやめないから
そこに着いたときにはヘロヘロになっていた
そしてその場所の独特の雰囲気が嫌いで
その場から逃げ出したくなった
「なんで…風斗体調悪いの?」
そうじゃないことなんて分かってた
「しばらく黙っとけ」
いつもより低い声に少し驚いて
私は言われるままに口を閉じた
街中に建てられた大きな白い箱は
他の建物とは違って異様な雰囲気を放っていて
私は小さい頃からそこが嫌いだった
むしろ好きな人なんているんだろうか?
私はどうしても好きになれない、この場所が。
風斗は1人で受付に行って
白い服を着た女の人に話を聞いて
また私の手を引っ張って歩き出した
エレベーターに乗って5階まで上り
ずらっと部屋が並ぶ長い廊下を歩いて
ある部屋の前でピタリと動きを止める
そして私は見たくないものを見た
今まで逸らしてきた現実を目の当たりにした
部屋の前に貼られた名前
そこにあったのは
"青山時雨"