**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜
今、目の前にいるしぃは
まるでしぃじゃないみたいだった
普段でさえ細身の体がさらに細くなって
まるでしぃの命を繋ぐように
彼の体にはたくさんの管が繋がっていた
私は、声が出なかった
なんて声をかけていいかわからなくて
この状況が理解出来なかった
「お前が寝言でひなたに会いたいっていうから連れてきた」
「言ってないよ、そんなこと」
「いーや言ってた。そろそろ強がりやめれば?」
「全然強がってなんかないし…」
ふたりが何の話をしてるのか全くわからない
キラキラ輝いてた太陽が
雲に隠れ始める
「ごめん、ひなたの2人にさせてくれないかな」
久しぶりに聞いた
しぃが私の名前を呼んでくれてる
いつぶりだろう?
それだけで隠していた愛しさが溢れ出す
ダメなのに、思い出しちゃダメなのに。
風斗は頷いて
"終わったら呼んで"そう言って
白い箱から出ていった
まるでこの建物はマトリョーシカだ
大きな箱の中に小さな箱が閉じ込められて
さらにその小さな箱に人が閉じ込められてる
運が良ければ逃げ出すことが出来て
外の世界で幸せに暮らせるけれど
生まれた時からずっと
この箱の中にいる人もいて
途中から閉じ込められて逃げ出せない人もいる
だから私は、"病院"が大嫌いだ