**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜
「俺さ、小さい頃から体弱くてさ。すぐ熱出したり喘息起こしたり。高校入ってからまあまあ調子良かったんだけど、去年の冬あたりからどうも調子悪くて家で倒れたんだ。で、運ばれてここにいるわけ」
あまりにも淡々と話すから
一瞬では理解出来なくて
頭の中でしぃの言ったことを繰り返した
「いつ退院できるの?」
体が弱いなんて知らなかった
そんな素振り見せたことないし
そんな話を聞いたことももちろんない
だから私は今戸惑ってる
どう接したらいいのか
なんて言ってあげたらいいのか
「できないよ。俺、死ぬから」
「冗談はやめてよ」
そこだけノイズがかかったみたいに
私の耳がその発言をシャットダウンした
冗談だよね?ジョークだよね?
そうだよね?
しぃが死ぬなんて…ありえないよね?
「冗談でこんなこと言わないよ」
雨が降り出した
雨と一緒に雷まで。
神様が…泣いてる
泣けない私の代わりに神様が泣いている
「俺さ、心臓の病気なんだ。先生の話あんまり聞いてないからよく覚えてないけど拡張型なんちゃらってやつ。手術するのは相当難しいらしくて。俺は心臓移植のドナーが見つかるまで死を待つことしかできないだ」
しぃは生きることを諦めてる
この箱から出ることを諦めて
希望なんてもってなくて
ただただ1人で、死を待っている
「どうして言ってくれなかったの!?」
雨がさらに強くなる
悲しみもあるけれど
悲しみよりも先に怒りが溢れ出した
どうして?どうして1人でいようとしたの?
私はしぃのなんだったの?
それくらいのものだったの?
私はしぃが大切だったよ
恋人以前に私達は友達じゃなかったの?