**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜

夜空の花たち



しぃが眠っている間にやってきた夏

外ではセミたちが大合唱中だ

そんな真夏日の今日は特別な日



「青山くん!久しぶり!」

「よっしゃー!花火見るぞ!」


1年に1度の花火大会の日

桜ちゃん、風斗、私は

日中に買い物を済ませて彼の部屋に集まった

本当は外で見ようと思って

しぃの担当の先生に外出許可をお願いしたんだけど

結局許可がおりることはなかった

だけどこうやってみんなと集まれた

私たちは幸せだ



「すっげー!でかいな!!」

「風斗、声大きいよ」


ここは病院だから静かにしないといけないのは分かってるけど

叫びたくなる風斗の気持ちも少しは分かる

大きな夜空に打ち上がる大きな花火

キラキラしてて色鮮やかで

真っ黒なキャンバスによく映える


しぃは静かにそんな夜空を眺めていた

前より口数が減ったけど

しぃの表情を見ればわかる

ちょっと緩んだ口元が微笑ましい



「花火、来年も一緒に見ようね」

「うん。今度は外で見よう。」


未来の約束をたくさん作ろう

そしてそれを一つずつ叶えていこう

約束が途切れないように、たくさんたくさん

そして私たちはもう一つ、

叶えないといけない約束があった

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