**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜
雨
時は残酷にも止まることなく進んでいく
大晦日は一緒に過ごして新年を迎えた
それからお正月も一緒に過ごして
勉強も忘れることなく続けた
2週間後にはセンター試験が待っている
しぃのドナーは見つかる素振りも見せないまま
時間だけが流れていた
国内にはドナーを探している人が山ほどいる
その1人にしぃもいる
ドナーが見つかるのは簡単じゃないことくらい
それくらい分かっているけど
一刻も早く、見つかって欲しい
難しいと言われている手術だけど
やらないまま過ごした後悔と
出来ることをやってした後悔は
意味も全てが違う
しぃはドナーが見つかるまで
病院でできる治療を続けている
でもそれも段々限界に近づいていたんだ
試験1週間前のこと
その日も確か雨が降っていた
「しぃ!あのね!」
私は好 手にあるものを握りしめて
彼の病室を訪れた
だけどいつも静かなはずの病室が
今日はやけに騒がしかったんだ