**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜
病院へ向かうバスが来るまで20分はある
雨が降ってるから遅れてるだろうし
たぶん到着まで20分以上はかかるだろう
しぃに"終わったよ"って連絡しなくちゃ
電源を切っていたケータイの電源を入れる
電源が入るまでの時間が長く感じたのはなぜだろう
そして、電話をかけようとしたときに気づいた
不在着信が50件以上来ていることに
胸騒ぎがした
雨が降ってることに気づいた時からしていたけど
それが大きくなった
その着信は病院からとお母さんから
そして、しぃの携帯から
なぜか震える指に力を込めて
落としてしまわないように携帯を握る
耳元で携帯がプルル…となり始めた
1コール、2コール…プチッ
「もしもし!?ひなたちゃん!」
「しぃのお母さん?今試験終わりました」
しぃの携帯に電話をかけると
なぜかしぃのお母さんの声がした
…すごく、嫌な予感がする
雨音にかき消されてしまわないように
私は耳を澄ましてその声を聞いた
「時雨が…大変なのっ、今すぐ来て!」
お母さんの震えてる声に驚いた
ことの重大さを察する
しぃが…大変?
全身の力が抜けて
携帯がパタリと地面に落ちた
携帯の向こう側からしぃのお母さんの声がする
"早く、早く''って私を呼んでる
行かなきゃ
行かなきゃ
行かなきゃ…!
一秒でも早く、しぃのところへ行かなきゃ