**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜
バスを待つ余裕なんてなくて
私は雨の中ただひたすらに走り続けた
雨で濡れたコートが重い
でもそれよりもっと重いのは私の足だった
"行きたくない"って言ってる
でもその足を引きずりながらも病院へ向かった
しぃが私を待ってる
約束したもん
終わったら行くねって…
足を止めることなく走り続けた
できるだけ近道を探して走った
病院についた時にはびしょ濡れで
たくさんの患者さんや看護師さんが私を見る
けどそんなの構う暇もなくて
しぃの病室へ向かった
しぃが倒れたあの日よりも多くの人だかりが出来ている
溢れんばかりの人が、
しぃのことを見ていた
心配そうに、祈るように
「時雨お兄ちゃん、大丈夫だよね?」
部屋の扉にしがみついてる男の子が
私の制服の袖を引っ張って私に問いかけた
今にもこぼれ落ちそうな涙を
大きな瞳に一杯溜めて心配そうに。
「僕ね、よく遊んでもらってたんだ。だからね、お兄ちゃんのこと大好きなの。お姉ちゃんも、時雨お兄ちゃんのこと好き?」
しぃは…たくさんの人に愛されてたんだね
ここに集まっているたくさんの子供たちは
きっとしぃとたくさん遊んでたんだね
「大好きだよ。だからね、お兄ちゃんは大丈夫だよ」
そう言うと男の子は
心配そうな顔をしながらも頷いて
またしぃを見つめ続けた
ほら、しぃ
あなたにはたくさんの人がいるでしょう?
あなたが生きることを望んでるのは
私だけじゃないんだよ
ここにいるみんながしぃが生きることを望んでる
だからしぃ、まだ死んじゃダメだよ______