**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜


病室へ飛び込むと

そこには先生、看護師さん、

しぃのお母さん、

そして私のお母さんとお姉ちゃんもいた



「2時間くらい前に様態が急変して、この子さっきまでずっとひなたちゃんの名前呼んでたの。"ひなた"、"ひなた"って」


そう、しぃのお母さんが話してくれた

目に涙を溜めながら

嗚咽を漏らしながら



「しぃ、試試験終わったよ!私、頑張ったよ!ほら、ちゃんとお守り握ってて!」


しぃの右手にあるお守りは

今にも落ちてしまいそうだった

私はそれをきゅっと握らせて響く鈴を鳴らした

無機質な機械音に負けないように

私はここにいると知らせるように。



「ほら!もう、お母さん泣かせたらダメじゃん!子供たちもしぃのこと応援してるよ、たくさんの人がしぃを待ってるよ。だから、頑張ってよ!」



お願い、目を覚まして

まだしぃに伝えてないことたくさんあるよ

まだまだたくさん"好き"って言いたいよ

叶えてない約束一杯あるじゃん


「来年も花火見るって言ったじゃん!オリオン座見るって言ったじゃん!一緒の大学行こうねって…っ、言った…じゃんっ」




まだ泣いちゃいけないのに

思ってることと体は釣り合わなくて

降り続ける雨のように

涙がボロボロとこぼれた


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