**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜


「おか…え、り」


今にも消えそうな声をしっかりと聞く

しぃの両手を握って

"私はここにいるよ"って



「ただいま。試験、終わったよ」


そう言うと

しぃは微かに笑った

酸素マスクをして苦しそうに息をしながら

目を細めて小さく笑ったんだ



「ひ、なた」

「何?」


病室が一瞬にして静かになった

誰もが

この消え入りそうな声に耳を澄まして

彼の声を聞こうとしている

雨音だけがただ響いていた



「泣かな…い、で?」


私は止まらない涙を必死に拭って笑った


「ごめんごめん。安心して、泣いちゃった」



拭っても拭っても涙は止まらなくて

次々と溢れ出した

でもその涙を隠すように私は笑う


ねえ、しぃ

最後に嘘ついてもいい?

泣きたくてたまらないけれど

思いっきり笑っていい?

あなたが好きな笑顔を思いっ切り見せるから


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