**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜
駅前の喫茶店はレトロな感じで
扉を開けると、カランカランと音が鳴った
彼女は窓際の席に座っていて
いつもと変わらない雰囲気でコーヒーを飲んでいた
…だから嫌だったんだ
時雨はお母さんに似てるから
彼女に会うと時雨の顔が脳にはっきり浮かんで
思い出しちゃうんだ
その悲しそうな笑顔は今でも忘れない
「ごめんなさいね。呼びつけちゃって。」
気の毒そうにそう言った
「ひなたちゃん、少し痩せたんじゃない?ご飯食べてる?」
まるで私のお母さんみたいに心配してくれる
「はい」
なんて嘘だけれど。
ご飯なんてまともに喉を通らなくて
食べたとしても吐き出してしまう
でも1日1食は無理にでもちゃんと食べるようにしていた
私は飲めもしないコーヒーを頼んで
たくさん角砂糖を入れた
…飲めないのに
「私ね、この間まで時雨の部屋片付けれなくてそのままにしてたんだけど、昨日思いっ切って片付けたの。そしたらひなたちゃんとの写真がたくさん出てきたわ」
机に並べられたたくさんの写真
懐かしいものからつい最近のものまで
数え切れないほどあった
「風斗くんにお願いして、写真屋さんで印刷してもらったらしいのよ。あの子、これを大事そうに缶の中にしまってたわ」
愛しさが溢れ出す
こんな想いいつぶりだろう
私はどれだけ彼に愛されていたのだろう