**青空ドロップ**~君が落としたラブレター〜


なんで私が風斗にキレられなきゃいけないの…



とぼとぼ教室へ向かっていたはずなのに

靴箱から教室はそう遠くないため

あっという間に着いてしまう




「ひなた」


席につくとさっそく名前を呼ばれて

ちょっとだけ遅く振り返った



「なに?」


何の変わりもないいつも通りのしぃはそこにいて

私の気持ちなんて知るはずもなくて

今どんな気持ちでしぃの顔見てるのかも

何も知るはずがなくて



「昨日さ…」



ドクン

胸が鳴る

大きく大きく

痛むように



「風斗となんかあった?」


なんで


「別に?何もないよ」


嘘は上手に出てきて

何もないよと嘘のフィルターをかける



昨日のことが少しだけ脳裏に浮かぶ

手で追い払おうとしてもそれは消えなくて

一つ一つの言葉と風景が

はっきりと濃く思い出せる



しぃが知ってるはずないのに

絶対知らないはずなのに

どうしてだろう

しぃは、

色んなことを知ってる気がする______


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