めくるめく恋心
更にギュッと抱きしめられて、体が更に密着する。恥ずかしくて、胸に顔を埋めた。


「ずっと不安だった。 昨日も凄く楽しかったから、こんな楽しい時間がなくなるなら、返事何ていらないかもってちょっと思った。」


_先輩がそんな事を?

いつも堂々としてる先輩だけど、恋愛に関しては私と変わらないのかもしれないと思った。私と同じなんだ。


「どうしよ。 離したくない。」

「手の届くところに居ますから、今日は部活に戻って下さい。」


_素直に嬉しかった。 けどさっきから……。


「先生の叫び声が凄い事になってますよ。」


さっきからずっと「おい、こら高尾—!!!」という先生の図太い怒声が聞こえていて、ムードもへったくれもない。


「もっと空気読んで欲しいよね。」


体を離した千里先輩は呆れた様に笑った。見上げると、今度はおでことおでこがくっついた。


「今日はバイト?」

「はい。」

「そっか、頑張ってね。」

「千里先輩も部活頑張って下さい。」


_市川 心、高校二年の夏休み前に彼氏が出来ました。
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