めくるめく恋心
千里がサッカーに明け暮れる中、私はバイトを頑張った。それでも出来るだけ会える様にと、時間の融通が利く私が千里の予定に合わせるようにした。


「心、ごめん待たせちゃったよね?」

「そんな事ないですよ。 今日もお疲れ様です。」


部活終わりの千里と待ち合わせして、一緒にご飯を食べに行った。歩く時は自然と手をつなぐようになった。


「練習大変なのに、千里はいつも疲れた顔しないですよね。」

「そうかな? 心に癒してもらってるからじゃない?」


_またそうやって恥ずかしい台詞をさらっと……。


「それより、やっぱり敬語が抜けないよね。」

「これも癖だと思いま……思うよ?」

「まぁ徐々にでいっか。」


敬語だと堅苦しいからタメ口がいいと言われたけど、今は敬語とタメ口がごちゃ混ぜ状態だ。


「明日は海に行くんだよね?」

「うん、そうだよ。」

「海に行くってだけで心配なのに、泊まりって本当心配なんだけど、気を付けてね? 知らない人について行かない事、知ってる人でも油断しない事、一人でふらふら歩かない事、それから……」

「大丈夫ですってば! 明日はきーちゃんたちもいるし、葉山さんもいるから大丈夫!」


心配事を並べる千里の言葉を遮って、本当に大丈夫だからと念押しした。
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