めくるめく恋心
千里と話しながら胸には罪悪感。恵奈ちゃんと二人の予定だったはずが、直ちゃんと秋ちゃんが混ざってしまった。直ちゃんはいいにしても、秋ちゃんと一緒なんて言えないよね。


「心の声聞いたら元気になったよ。」

「本当? 私の声で良かったらいくらでも聞かせるよ。」

「ずっと聞いてたいけど、今はそれより抱きしめたい。」


甘い言葉に頬が熱くなる。

壁に背中を付けたままズルズルとしゃがみ込んだ。


「帰ってきたら抱きしめていい?」

「もう、わざと聞いてるでしょ? 私が照れるの分かってて。」

「電話越しでも分かるくらい反応してくれるから可愛いんだよ、心は。」

「からかってるの?」

「からかってないよ。 気持ちは本当。」

「帰ってきたら私からお疲れ様のハグするね。」

「二人でし合えばいっか。」


「そうだね。」と言って笑うと、千里も楽しそうな笑い声を上げた。そうしていると千里が友達に呼ばれてしまい、私たちは電話を切った。

千里との電話の時間は楽しかったのに、思わずため息が零れた。

_今日の事言うべき? それとも言わないべき?

私だったらどっちの方がいいかな?と思った。いくら考えても直ぐには答えは出そうになかった。ただ、もし言うという選択をしたとしても、決勝前の大事な時に話をする事は絶対できないなと思った。

廊下で一人悶々と考えてると、リビングのドアがガチャッと開いた。
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