めくるめく恋心
次の日バイトでいつもの様にレジの所に座っていると、扉が開いた。


「あー涼しー。」

「葉山さん、お疲れ様です。 真夏にスーツって大変ですね。」

「そーなんだよー。 この時期のスーツマジ嫌。」


普段はスーツを着ている事の少ない葉山さん。今日はお仕事の関係で、どうしてもスーツを着なきゃいけなかったんだろうなと思う。


「吉良と仲直りできたんだって?」

「あ、そうなんです。 ちゃんと仲直り出来て良かったです。 色々と話聞いて下さってありがとうございました。」


葉山さんと会うのは海に行った日以来だから、きーちゃんと仲直り出来た事話せていなかった。


「彼氏とも順調?」

「あ、はい……。」


_順調、だと思う。

千里は優しいし、私の事を大切にしてくれるし、気持ちが凄く伝わってくる。勿論私も千里の事は好き。でも胸に潜むモヤモヤは私の心を不安定にさせる。


「俺はね、心ちゃんの素直なところ好き。」

「え!? 急にどうしたんですか!?」

「あはは、大人になると我慢する事は増えるは、捻くれてくるはで嫌になることばっかだぞ。素直に生きられる内は自分に正直が一番って事。」


キョトンとする私を残して、葉山さんは笑いながら奥の部屋へ消えて行った。
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