めくるめく恋心
時間が経てば経つ程右京との仲は少しずつ近づいて行ったけど、相変わらず彼女にはしてもらえない。二人っきりでいる事もあるのに、キスもエッチもなし。右京にどうして手を出さないのか聞いた事がある。女のプライドが傷ついたとかそんな理由からじゃなくて、女として見てもらえていないのかな?と不安に思ったから。けど右京の答えは思っていたものとは違っていた。『真剣に想ってくれてる相手に気軽に手を出すつもりはない。』……その言葉を聞いて私は益々右京に惚れてしまった。

右京と初めて出会って一年が過ぎた頃の昼休み、学食で信じられない光景を目撃した。

右京の隣に座っている知らない女。その女に優しい顔で話しかけている右京。

_私にだって中々そんな顔見せてくれないのに……。

右京に近づき、後ろから抱き付いた。


「右京が学食なんて珍しーね。」

「あ? 欄、お前香水くせーんだよ。」

「この香り嫌い? じゃあ右京と同じのにしよっかなぁ。」


_右京と同じ二年? でもこんな子知らない……もしかしてこの子が噂の転校生?

私とは違うタイプの子で、それが余計に私を不安にさせる。もしかしたら、こういう子がタイプなのかもしれない。


「ちょっとちょっとー、イッチーが怖がってんじゃぁん!!」

「え!?」


槇がわざとらしく転校生の頭を抱き寄せた。

_これじゃ私が悪者みたいじゃないのよ!!


「うあっ!?」


けど直ぐに右京が転校生の腕を引っ張って、槇と体が離れた。
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