めくるめく恋心
着替えて夕食の準備を手伝っていると、玄関から「ただいまー。」という声が聞こえてきた。リビングのドアが開き、私と目が合ったきーちゃんは一直線に私のところへ向かってきた。そのままギュッと抱き付かれ笑ってしまった。


「きーちゃんお帰り。」

「撮影のない日にあんたが早く帰ってくるなんて、明日は嵐かしらね。」

「ココちゃんの初登校日だよ!? 早く帰ってくるに決まってるじゃん!! ココちゃん、大丈夫だった? 変な奴らに絡まれなかった? 知らない人にホイホイ付いて行ったりしてないよね!?」


きーちゃんは私の事いったいなんだと思ってるんだろう……。うーちゃん同様、何故か私の事に過保護なきーちゃん。一つしか変わらないけど、私の方がお姉さんな筈なのに……。

きーちゃんはうーちゃんの弟で、私にとっても弟同然の存在。


「おっきいのにウロチョロされたら邪魔よ。 夕食ができるまで着替えて部屋でおとなしくしてなさい。」

「息子に対する扱い酷くない!?」

「私に優しくされたいの?」

「……逆に怖いからいいや。」

「そうでしょ? 分かったならとっとと部屋に行く。」


私から離れたきーちゃんはおとなしく部屋に行き、リビングにさっきまでの穏やかな空気が戻った。
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