めくるめく恋心
「大きくなったら多少マシになるかと思ってたけど、吉良の心ちゃん大好き度は上がるばっかりね。 煩わしい時は蹴飛ばしていいからね?」

「ううん、私も嬉しいからいいの。」

「小さい頃からわがまま放題な吉良だけど、昔から心ちゃんのいう事だけは聞くのよね。 心ちゃんが家に来てくれて本当に助かるわ。」

「きーちゃんは根は素直でいい子だから、私の方がわがまま言ってるかもしれない。」

「いいの、いいの。 娘が欲しかったおじさんも心ちゃんにデレデレだから、思う存分わがまま言っちゃいなさい。」

「あははっ、そうするー」


楽しいはずの会話なのに、私は今上手く笑えてるかな?とか、無理してるのばれてないかな?とか、そんな気持ちでいっぱいだった。うーちゃんの顔を見たら泣いてしまいそうで、帰ってくるまでに笑顔を作る練習をしておかないとと思った。

千代さんと今日の話しをしながら夕食の準備を進めていると、着替えたきーちゃんがリビングに入ってきた。すると呆れた顔をする千代さん。


「たまには部屋で勉強でもしなさいよ。」

「今は勉強するよりココちゃん見てたいもん。」

「もんって……あんたね……。 見てるくらいなら手伝いなさいよね。」

「それは嫌。」

「息子ってほんっとに使えない。」

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