めくるめく恋心
心の中でうーちゃんに謝った。


「言うなって言われたんじゃなかったっけ!?」

「だってあんなに一生懸命なのに「知りません。」とは言えないよ……。」

「そりゃそうだけど……ま、右京の事だから上手くやるか。」


そう言って愛は接客に戻って行った。


「さっきの人って篠宮君の彼女じゃないの?」

「へ? 違うよ?」

「そうなの? てっきり彼女かと思ってた。」


何も知らなかったらうーちゃんと欄先輩はカップルに見える。それくらい息もぴったりでいい感じなのに、彼氏彼女に発展しない。


「コッコロ〜ン!!」

「はーい!! ごめん、呼ばれたからちょっと行ってくるね。 ゆっくりしててね!!」


輝夫先輩の所に行くと、飲み物のお代りを頼まれた。


「千里、大丈夫?」

「え?」

「なんだかボーっとしてる様に見えたから。 もう疲れちゃった?」


手の甲で千里の頬に触れると、千里の口元がフッと緩んだ。



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