めくるめく恋心
「きーちゃん、蒼汰君ありが……」

「やっぱりモデルの蒼汰だぁ!!」


私の声は周りの女の子たちに見事に掻き消された。今日一番の女の子の悲鳴。

_すごっ……。


「ココちゃん! いつも言ってるでしょ!? もっと警戒心持ってってさ!!」

「ご、ごめんなさい……。」


ふくれっ面のきーちゃんに怒られて謝った。けど私にだって言いたい事はある。


「助けてくれて感謝してるけど、あんな言い方して喧嘩にでもなったらどうするの!? 春姫ちゃんだっているのに危ないでしょ!! それに手首だって怪我してるんだから無茶しないの!!」

「もしそんな事になってもちゃんと守るよ。 蒼汰が。 っつーか、あんなやつら相手にすんのに片腕使えないくらい問題ないもぉん。」

「きーちゃん!!」

「まぁまぁ、ココちゃん落ち着いてよ。 俺も浅はかだったし、吉良ばっか怒んないでやって?」


きーちゃんと蒼汰君は同い年なのに、蒼汰君の方が大人に見える。春姫ちゃんと目が合って遠慮気味に「こんにちわ。」と言われてしまった。


「あ! 五十嵐先輩たちじゃん!! こんちわーっす!!」


きーちゃんは反省する素振りもなく、ものっ凄い笑顔で直ちゃん達の所に行ってしまった。

_もー……相変わらず自由人なんだから。 ちゃっかり直ちゃんの隣に座ってるし……。


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