めくるめく恋心
トレーを持って表に出て千里の所に向かった。


「さっきはごめん。 直ぐ助けに行ってあげられなくて……。」


申し訳なさそうな顔をする千里に、私の方が申し訳なくなった。

_千里が悪いわけじゃないのに……。


「愛から聞いたよ。 駆けつけようとしてくれたって。 心配かけてごめんね?」

「ううん、無事で良かったよ。」

「そろそろ戻んねーと時間やべーぞ。」

「そうだな。 じゃあ俺たちはそろそろ行くね。」

「うん、分かった。」

「心、写真は明日撮ろうね。」

「うん!」


千里たちを見送って、きーちゃんたちのところへドリンクを運んだ。ぶすくれた様子もなく、楽しそうに直ちゃんに絡んでいるきーちゃんを見て安心した。


「きーちゃんってば随分直ちゃんに懐いてるね。」

「こいつうっせーんだよ。 ココどうにかしろよ。」

「えぇー五十嵐先輩ひっどぉい!!」

「五十嵐先輩ってなんとなく右京にーと似てるし、それで吉良も話しやすいんじゃないんっすかね。」

「はぁ? 俺と篠宮が? 似てねーだろ。」


直ちゃんは完全否定してるけど、私もうーちゃんと直ちゃんは雰囲気が似てると思う。直ちゃんの方が棘が強い感じだけど。
< 270 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop