めくるめく恋心
_えっ!?


「うわっ……!?」


きーちゃんに腰に腕を回されて引っ張られた。 そのまま膝の上に座らされて唖然となった。


「何急に!」

「うさココ可愛い!! って言うの忘れてたなと思って。」

「わざわざ膝に座らせなくても言えるでしょ!?」

「いーじゃん。 座らせたかったんだもん。 それにこの方が写真撮りやすいでしょ?」


カシャッという音がして顔を向けると、いつの間にか蒼汰君がスマホのカメラを私たちに向けていた。


「ほら! ココちゃん笑って!」


肩に腕を回されてグッと抱き寄せられた。頬っぺた同士がくっついて、笑うと自分の頬のお肉がむにっとなるのが分かった。


「もう一枚撮るよぉー。」


蒼汰君が撮る瞬間、「いーかげん働けぇい!」と乱入してきた愛も写真におさまった。写真を確認すると、私ときーちゃんが後ろから愛に抱きしめられていた。抱きしめられていると言うよりは、首を絞められているように見える。

可笑しくなって笑っていると秋ちゃんと目が合った。みんなが騒がしくしている中、秋ちゃんの周りの空気だけが静かで、その空気に引き寄せられるように私はみんなの輪から外れた。



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