めくるめく恋心
文化祭の時だけ設けられている休憩スペースに座ると、千里はすぐそこの屋台に飲み物を買いに行ってしまった。

_不機嫌?

でも不機嫌になる理由が分からなくて頭を抱えた。


「たこ焼き食べないの?」

「千里と一緒に食べたいから待ってた。 飲み物ありがとう。」


千里から受け取ったペットボトルを開けて、アイルティーを一口飲んだ。

顔は笑ってるけど明らかにいつもと様子の違う千里。いくら考えても分からないから、素直に聞いてみる事にした。


「思ってる事があるなら言ってほしい。 私何かしちゃった?」


顔を覗き込むと困ったように笑われた。


「ごめん、ただのヤキモチ。」

「……へ?」


_ヤキモチ? ヤキモチ妬くとこなんてあった?

それこそいくら考えても分からなかった。


「相変わらずの鈍さだよね。 屋台の男の子顔真っ赤にしながら心の事見てたのに、気付きもしないであんなにニコニコ笑って……しかも腕掴むし……って、俺の心が狭いだけか……ごめん。」


不貞腐れながら話し出した千里なのに、最後は申し訳なさそうな顔をしていた。その様子が可愛くて、つい笑ってしまった。

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