めくるめく恋心
「笑いたいだけ笑えばいいよ。」

「だって可愛いんだもん。 そんなに気にしなくてもいいのに。 私は……。」


「千里だけだよ。」最後の言葉が何故か上手く出てこなかった。


「私は? 何?」

「私はほホイホイついて行ったりしないんだから。」

「ホイホイついて行かれた本当困るよ。 心がそのつもりなくても、ホイホイついてくる男もいるから気を付けてね?」

「はぁい、気を付けまぁす。」

「こーこーろぉぉぉ。」

「あははははっ、ヤダ! くすぐったい!!」


くすぐられていたと思ったら気付けば抱きしめられていた。ハッとして周りを見渡すと、凄い注目を浴びていた。

_ここが外だってすっかり忘れてた!

千里と顔を見合わせてお互い吹き出した。

たこ焼きを急いで食べて私たちは逃げる様にその場を後にした。

色んなクラスを見て回って、途中は千里のクラスのお化け屋敷に入った。思っていたよりも本格的でワーキャー叫ぶ私を千里は笑いながら見ていた。ふとした瞬間にキスをされて照れて、けど驚かされて怖くなっての繰り返しで私の心は大忙しだった。

千里との時間を楽しみながらも、どうしてあの時『千里だけだよ。』の一言が言えなかったのか、グルグルと頭の中で考えていた。

好きな気持ちはある。けど千里に甘えきれていない自分が居る事にも気付いていた。

内側がモヤモヤしていて気持ち悪い。


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