めくるめく恋心
「えぇ!? そうなの!? 本当ごめん。」

「あはは、いいのいいの。 俺は文化祭はやる事ないからどーせ暇だからさ。」

「そうなの?」

「芸能科が学校行事で唯一不参加なのが文化祭。」

「そうなんだ。 一番盛り上がる行事なのにね。」


客として参加するのは自由だから、俺的には面倒くさい準備やらなんやらしなくていいから良かったと思う。

吉良の教室に案内しながら、早瀬先輩と何かあったのか聞こうと思ったけど止めた。あの時の雰囲気的に面倒くさそうな内容な気がしたから。


「ここが吉良と春姫の教室だよーう。」


教室に戻るとさっきの女どもはいなくなっていたけど、違う女たちの声が煩かった。それに何故だか俺の後ろに隠れて教室を見渡すココちゃん。それに吉良が気付かないわけもなく、ココちゃんを見つけるなり満面の笑みになった。


「ココちゃんいらっしゃぁい!!」


吉良がココちゃんに抱き付き、頬を摺り寄せている。

_犬が飼い主見つけたみてぇ。

そう思うと笑いがこみ上げてきた。助けを求める様な目で見られたけど、笑い過ぎてそれどころじゃなかった。

すかしてて生意気な吉良も嫌いじゃないけど、ココちゃんと居る時の吉良は無理してる感じがなくて、見ていて安心する。





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