めくるめく恋心
「蒼汰君は、好きな人が異性と絡んでたらどう思う?」

「そりゃ気が気じゃないっしょ。 それにイラつく。」


自分の事は棚に上げてと思われるかもしれないけど、春姫が男と話してるのを見るだけでイラッとする。

ココちゃんはテーブルに肘をつくと頭を抱えた。

すると吉良がココちゃんに覆いかぶさるように体重をかけた。


「ちょっと、うちのココちゃん虐めないでくれますー?」

「虐めてないっつの。」


ココちゃんは勢いよく顔を上げると、吉良を両手で押しやった。俺も吉良も驚いた。けどそれ以上に驚かされたのはココちゃんの顔を見てからだった。

_顔が赤い……。

赤くなっている原因を知っているのは俺だけだろう。きっとココちゃん本人ですら、気付いていない。いや、ココちゃんは赤くなってる事すら分かってないかもしれない。


「虐められてないよ! ってか何できーちゃんだけエプロンしてないの!?」

「俺は手がこんなだから、注文しか取らないから着けてないんだよ。 ってか今更そんな事聞く!?」


必死なココちゃんを見ていたら、自然と頬が緩んだ。


「代わりに春姫に運んでもらってんだから、お前はちゃっちゃと注文取ってこいよ。」

「蒼汰に言われなくてもやる事はやるっつーの。」


俺たちのテーブルから吉良が離れると、ココちゃんはあからさまにホッとした顔をした。

_ココちゃんってマジ分かり易い。
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