めくるめく恋心
「蒼汰君は何を知ってるの? どこまで知ってるの? 何がしたいの!? もーヤダ!」

「あはは、とうとうココちゃんが壊れた。」


必死な顔のココちゃんを見ていると、本当に虐めたくなる。そんな事したら吉良だけじゃなくて右京にーからもしばかれそうだからしないけど。


「きーらぁー!!」


_この声は……。

振り向いて見ると、思った通り奈々子だった。

_あいつもしつけーな。

ココちゃんを見ると、サッと視線を下に落とした。奈々子に視線を戻すと、奈々子ががっつり吉良に抱き付いていた。


「ココちゃんの置かれてる状況も分かるけど、気付いたなら目を逸らさないで答えを出さなきゃダメなんじゃない?って思うよ。」


俺の言葉に視線を上げたココちゃんと目が合った。何も言わなくても、目を見ただけでココちゃんが困惑しているのが分かる。

奈々子の騒がしい声のせいで吉良との会話はまる聞こえだ。ココちゃんは明らからに不安そうな顔をしているのに、こんな時に限って吉良は気付かない。

_なんて残念な奴だ。 吉良も肝心な時に抜けてたりすんだよなー。


「吉良の従姉妹の心ちゃんだよね? こんにちわぁ!!」


奈々子に声を掛けられて動揺を見せるココちゃん。頑張って笑ってるんだろうけど、完璧苦笑いになってる。


「こんにちは……。」
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