めくるめく恋心
「いやーん!! イッチーがシノを押し倒してるー!!」


マッキー先輩の楽しそうな笑い声が体育館に響き渡った。


「ちょっと、大丈夫!?」

「おい、心……」

「うーちゃんごめん!! でもちょっと待って!! 暫く起き上がれそうにない!! 足が痺れたー!!」

「痺れてるって聞くとさ、悪戯心に火が付くよねー。」

「いぃやー!! 愛の馬鹿ぁ!! 触んないでぇぇぇ!!」


うーちゃんの上に居る事も忘れて、愛の手から逃げる為必死に足をばたつかせた。その度に痺れた足がジンジンする。


「心!? 何やってんの!?」


驚いた声がして顔を向けると、声の通り驚いた顔をした千里が体育館の入り口に立っていた。


「足が痺れたぁぁぁ!!」


呆れた顔をした千里は私の斜め前に立つと、私の両脇を抱えた。


「待って! ゆっくり! ゆっくりだよ!?」

「はいはい。 分かったからジッとしてて。」


軽々と抱き上げられ、そのまま千里に抱っこされる体勢になった。千里の首に腕を回して「ありがとう。 助かったよ。」と言うと「本当に何やってんの。」と呆れた声で返された。

< 303 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop