めくるめく恋心
足の痺れもだいぶ治まり、漸く床に足をつけられた。


「ほら。」

「ありがとう。」


うーちゃんが教科書とかを鞄に入れてくれて、その鞄を受け取って肩に掛けた。

千里に手をギュッと握られ顔を見上げると、ニコッと笑われた。この笑顔は恐らく言いたい事がる笑顔。最近千里の笑顔の違いが少しずつ分かってきた気がする。


「フー! 相変わらずラッブラブ〜!」


冷やかしに来たマッキー先輩が千里の肩に腕を回した。

_この二人仲良いのかな?


「お前は相変わらずテンションが高いな。」

「え〜? そーお? タカがクール過ぎんじゃん? まっ、イッチーの事となるとクールな顔が崩れるからおもろいけど。」


ぷぷっと笑うマッキー先輩の顔を掌で追いやる千里の顔は引きつっていた。こういう顔の千里って珍しいかもしれない。


「帰ろうか。」

「あ、うん! 皆さんお邪魔しました! うーちゃん、行ってくるね。」

「おー。」

「心! あれ入れといたからしっかりね〜!!」


_あれってもしかして!?

鞄の中をあさると見覚えのある四角いビニール素材のものが……。
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