めくるめく恋心
鞄を覗き込んだ千里が笑いだした。


「高尾先輩、うちの心を諸々宜しくお願いしまぁす!!」

「ちょっと愛!!」

「あははっ、愛ちゃん最高ー。」

「笑いごとじゃない!! もー! 帰ろう!!」


体育館を出る直前に背中で愛の「頑張れ〜!!」という言葉を受け取り、振り返って「そんな応援いらない!!」と返すと愛に大爆笑された。

_本当に恥ずかしい!!

体育館を出て校門につこうとしているのに、まだ笑いが止まらない千里。


「笑い過ぎだよ。」

「ごめっ、だってっ、愛ちゃんも懲りないなと思ってさ。」

「お泊りするって事前に言わなきゃ良かったかもー。」

「お家の人には?」

「千代さんには千里のお家に泊まるってちゃんと言ってるよ。」


_昭人さんにはいつかタイミングがあれば話そう。 きーちゃんには、自分からは話せそうにないや。


「ってかさっきは本当に焦ったんだからね。」

「焦った? 何が?」

「迎えに行ったら篠宮君の事押し倒してるから、一瞬頭が真っ白になった。」


_そんなにビックリさせちゃってたの?
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